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    昨年(2004年)の夏頃に戸袋のガラスに小さなひびが入っているのが発見されたモ171で
  すが、その後、徐々に進行していき、ついに第2回総会でも議題として持ち上がりました。
  ヒビが入っている戸袋の窓枠(サッシ)は木製で修理しようにも当社には木工に関するノウハウ
  がほとんど無い事から、OBに依頼する、会員のツテで家具大工に依頼する等の提案がありま
  したが現在でも内装作業は木工の技能を引き継いでいる部分があり、末永く維持していく事を
  考え、保存会の手で修繕しようという結論に至りました。とは言え、構造や手順が全く判らない
  ので現在もモ161型のメンテナンスを行っている阪堺電軌の職人さんに御指導して頂くことに
  なりました。
   
   戸袋のガラスに入ったヒビ(矢印の箇所)。わずかなヒビがここまで進行した。
    そして、05年1月13日に我孫子道にある阪堺の工場内で取り外しから復旧に至るまで色々
  と御指導して頂きました。まず驚いたのは現在の車輌と比べ製作上の公差が大きい為、ガラス
  の寸法もままちまちでその都度カッターでガラスを切り取っていきます。また、窓枠を再利用する
  には完全にガラスを割らないと分解出来ません。初めて行う私にとっては思っていた以上に大
  工仕事と思いでもやるしかないと決意を新たにしました。
   阪堺で教えて頂いたことを元に手引き書を作成、部品や道具を入手しいよいよ取り替えに掛か
  ります。まず窓枠ごとガラスを外します。車体も永年の使用で歪んだ部分もあり思った以上にき
  つくはまっていました。
   
   本格的に始まった窓枠の交換作業。スペアの無い木工部品が多く使われている為、作業は慎重に進められた。
    取り外しが終わると新たに取付ける窓枠の調整です。今回取り換える箇所は戸袋窓なので
  下部にテーパーを付けて固定する様になっています。往時の車輛は公差が大きいので取り付
  け箇所毎に作っていたと思うと本当に大工仕事だと思いました。
  形状が整うと取り付けです。窓を固定する方法ですが戸尻側(注1)は戸当たりを兼ねた棒状の
  角材で押さえますが戸先側(注2)は開閉の時にドアが通るのでフラットになる様に工夫がされて
  います。この押さえの難しく限られた時間の中で無理と判断した場合新た方法で押さえる事も検
  討しましたが、無事原形のまま取り付けが出来ました。最後に雨水の侵入を防ぐ為パテを塗って
  完了です。(※注1・2…ドアの開閉用の手掛けのある側を戸先と言い、その反対を戸尻と呼ぶ)
   
   原型のままで復旧できた押さえ                 雨水の浸入を防ぐ為のパテ塗り作業
   今回、保存会として初めて修繕を通して、今後のノウハウはもちろんの事、往年の車輌の製
  造・手入れ(メンテナンス)の技を垣間見る事が出来貴重な経験となりました。
  尚、お忙しい中御指導して頂いた阪堺の職人の皆様、また勤務中にも関わらず保存車の修繕
  を許可して下さった会社にもこの場を借りお礼を申し上げます。
   
  窓枠の周りに塗られたパテの上から再度塗装を行う。    そして工事が終了した窓枠の近影。

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